| Nano-JASMINE | 小型JASMINE | JASMINE |
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赤外線による位置天文観測衛星ミッションであるJASMINEは、科学的成果の 進展と技術的知識の蓄積のために3つの計画(超小型、小型、中型衛星)を段階 的に進めています。超小型衛星を用いるNano-JASMINE計画、そしてJAXA宇宙研 の小型科学衛星シリーズ3号機へのミッション提案を考えている小型JASMINE計 画、そして従来の(中型)JASMINE計画をシリーズとして検討、開発しています。 特に、2011年度打ち上げのNano-AJSMINE、2016年頃の打ち上げを目標にしてい る小型JASMINEに関して、現在、精力的に検討、開発を進めています。以下、こ の2つの計画を中心としてJASMINE計画シリーズの進捗状況を報告させていただ きます。
日本初(世界で2番目)のスペースアストロメトリの実現を目指して、 Nano-JASMINE衛星計画を進めていますが、打ち上げに関しては、アストロメト リニュース5号にも記載しましたが、ウクライナのユジノエ社が開発したサイク ロン4ロケットを使用し、打ち上げをオペレートするアルカンタラサイクロン スペース社(ACS社:ウクライナとブラジルの合弁会社)により、ブラジルのアル カンタラにある射場から打ち上げられることが正式に決定しました。打ち上げ 日程は、2011年8月ということで契約を結びました。なお、打ち上げ決定に関し ては、平成22年4月12日に国立天文台主催で記者会見を行いました。その後、9 紙に記事が掲載されるとともに、web上でのニュースにも多数掲載されました。 さらに、記者会見は、天文情報センターのご協力を得て、U-Streamで生中継さ れ、一般の視聴者の方からの質問を会見中にライブで回答するという公開性の 高い試みも行いました。さらにその後も記者会見のビデオに1000件以上のアク セスがありました。以上のように、打ち上げに関する関心を高めることができ ました。記者会見での公開資料 はこちらをご参照下 さい。
なお、その後、衛星とロケットのインターフェース調整が進み、平成22年 10月11日に京都大学理学部においてユジノエ社とACS社とのシステム要求審査会 を行い、問題なく今後も進めることとなり、打ち上げ準備の詳細を詰めること となりました。
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実際に打ち上げる衛星フライトモデル(FM)の組み立てがほぼスケジュール通 りに完了しました(2010年10月)。ハードウェア関連は終了し、あと少しソフト 面での開発が残っています。今後、22年度末までに各種性能評価試験を行い、 フライトモデルを完成し、打ち上げに備える予定です。
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アストロメトリニュース5号にも記載しましたが、Nano-JASMINEのデータ利 用促進のための研究に対して、経費を申請していた文科省宇宙利用促進調整委 託費が、21年度から3年間の予定で採択されることとなりました(代表は、京大 の山田氏。分担者に東大中須賀研の中須賀氏(21年度までは酒匂氏(現在、信州 大))と郷田)この経費により、データ解析、配信、利用の準備を進めています。
また、Nano-JASMINEはGaiaと観測手法が同じであるため、Nano-JASMINEのデー タ解析に関しては、Gaiaのデータ解析チームとの密着した共同研究開発が進ん でいます。Nano-JASMINEのデータ解析担当の山田良透氏(京大理)を中心として、 Gaiaのデータ解析チームとのコンタクトが現在、順調に進んでいます。具体的 には、Gaiaのデータ解析手法をNano-JASMINME用に改訂する開発などを行います が、この協力関係は、全ヨーロッパ規模のミッション参加者にNano-JASMINEに 興味を持ってもらうための良い役割を果たしています。ESAの学生やバルセロナ 大学の学生もNano-JASMINEのデータ解析で、主にシミュレーション用データの 作成などの部分で協力を行うことになっています。
さらに、2010年7月のGST(Gaia Science Meeting)会合において、 Nano-JASMINEデータとHIPPARCOSデータを連携させることにより固有運動精度を 向上させる取り組みについて、Gaiaのメンバーも好意的に受け取って頂き、共 同で進めることとなりました。これは、データ解析の協力がただ単にソフトウ エアのシェアにとどまらず、新たなサイエンスを生み出す土壌として熟してき たことを意味しています。この目的のためのソフトウエアの作成は、Gaiaの博 士課程学生の博士論文のテーマの一部となる見込みです。
ヒッパルコスカタログとNano-JASMINEカタログの組み合わせにより、ヒッパ ルコスの固有運動の精度より1桁程度精度が向上する見込みですが、そうなると 約200の論文を書きなおす必要があるとの評価もあり(Heidelberg大学Ulrich Bastian)、できるかぎり日本からも論文を出版したいと考えていますし、また 多くの論文を海外の研究者の共著としても出版できるよう努力したいと思いま す。その準備として、後述する小型JASMINEのサイエンスワーキンググループに 付属して、国内研究者コミュニティ有志からなるNano-JASMINEのサイエンス検 討チームも立ち上がり(主担当は、新潟大学の西氏)、サイエンスの検討も進め ています。
23年度にJAXAから小型科学衛星3号機(2016年度頃打ち上げ予定)のミッショ ン公募が行われる予定ですが、その公募へのミッション提案を目指して、概念 検討・設計、技術実証、国際的なプロジェクト連携、多岐分野に渡る国内コミュ ニティ有志から構成されるサイエンスワーキンググループによるサイエンス検 討を進めています。
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小型JASMINE衛星の総合システム成立性の検討に関しては、21年度後半に衛 星メーカー企業への委託で行い、企業側からの報告が出されましたが、その結 果、迷光対策など新たな検討課題も提起されましたが、総合システムに関して 技術的にはおおよその見込みがついてきました。ただ、コスト見積もりでは、 小型科学衛星の予算枠にはおさまっておらず、今後の大きな課題となりました。 その後、コスト問題の解決策を検討し、海外協力による外部資金の獲得をはじ め((iii)を参照)、仕様の見直し(観測波長の変更)によるコストダウン案を考 えました。そしてインハウスによる新たな仕様検討と確認を経て衛星メーカー への詳細検討を委託するに至っており、現在衛星メーカーによる2度目の詳細検 討が進行中です。
さらに、ミッションにとって、重要な技術的課題(星像中心決定、観測装置 の熱構造安定性、指向制御)に関しては、JAXAのエンジニアの方達の協力も得て、 引き続き実証実験等を進めており、順調に進んでいます。
| 構成要素 | 概要説明 |
| 光学系 | 主鏡口径30cmクラスの3枚鏡光学系で焦点距離は、4.9m。視野サイズは、約0.9度×0.9度を有し、観測視野全域に渡り星の位置決定精度が得られるような光学系を備える。また、位置天文観測以外にも色識別観測を行う。位置天文用検出器には、HgCdTeを用いる。 |
| 光軸制御系 | TTMを用いた指向安定化を行い、要求される安定度を達成する性能を備える。 |
| データ処理系 | 撮影した画像を処理する機能、バス部との通信、自律運用機能を有する。 |
| 熱構造系 | 既定の温度範囲内に熱制御し、要求値以内にミッション機器を保持する。 |
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小型JASMINEのサイエンス関連では、バルジ星の分光観測を行っているチー ムとの国際的な共同研究体制が進み出しました。先ず、前号でも記載しました が、UCLAのBRAVAチームを訪問し、科学的成果の戦略を練りました(平成21年 12月)。さらに、オーストラリアのARGOSチームのPIであるK.Freemanを訪問し、 今後の協力体制を議論しました(平成22年5月)。この議論が発展して、小型 JASMINEの焦点面開発をオーストラリアで分担できるように、オーストラリア政 府のAustralian Space Research Program(ASRP)への共同申請を検討することと なりました。その後、オーストラリア国立大学Research School of Astronomy and Astrophysicsのdirectorである、H.Butcher氏が来日し(平成22年10月6日)、 共同申請に関する協議を行いました。その結果、オーストラリア国立大学が小 型JASMINEの焦点面開発を担当し、ASRPにプロポーザル(予算額はおよそ500万 オーストラリアドル)を提出することがオーストラリア側から正式に表明され ました。さらに、アメリカのHバンドによる高分散分光サーベイ観測を行う APOGEE計画チームや星形成史の専門家であるチリの研究者との国際的な連携体 制もできつつあります。特に、APOGEE計画のPIであるS.Majewski(バージニア大 学)より、APOGEEの継続的発展として、バルジ観測に適した南天の望遠鏡に APOGEEと同じ高分散分光器を取り付け、バルジ観測を行うAPOGEE-III計画を共 同でプロポーザルを出すことを提案されました。その結果、共同プロポーザル の提出を米国で既に行いました。また、上海天文台の平教授より、小型 JASMINEのサイエンスデータ受信を中国国内の複数の電波望遠鏡で受信するサポー トを行いたいとの提案があり、協議を進めています。このように、小型 JASMINEは国際的なサポートを得ると共に、サイエンスの成果へ向けての国際協 力も進みつつあります。
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小型JASMINEで拓けるサイエンスに関する検討が、多機関、多分野に渡るコ ミュニティ有志により開始されました。なお、Nano-JASMINEの検討は、副代表 の西氏が主担当となっています。先ず、22年度末までにサイエンスワーキング グループでは、小型JASMINEおよびNano-JASMINEで期待されるサイエンス、その 意義などを記載したレポートをまとめてくださる予定です。さらに、実際に観 測データが得られたときには、本ワーキンググループメンバーを中心として、 サイエンス成果を出していただくことも期待しています。
また、この方達をコアとしてJASMINEチームと一緒に、今後は、もっと研究 者層を広げたり、若手の人材育成のために、研究会、シンポジウムをなるべく 頻繁に開催し、コミュニティを拡大、育成して行く予定です。
ご興味がある方のサイエンスワーキンググループへのご参加を歓迎いたしま す。ご連絡下さい。
【趣旨】赤外線による位置天文観測衛星ミッションであるJASMINEは、科学 的成果の進展と技術的知識の蓄積のために3つの計画(超小型、小型、中型衛星) を段階的に進めています。一つ目は、Nano-JASMINE計画であり、超小型衛星に よる日本で最初の位置天文観測衛星となります。ウクライナのサイクロン4ロケッ トによる打ち上げ契約を締結し、2011年度に打ち上げることが決定しました。
Nano-JASMINEのフライトモデルは組み立てが完了し、さらにデータ解析準備 は、EASの位置天文衛星計画であるGaiaのデータ解析チームとの共同研究開発で 順調に進められていますし、データ配信・利用についても準備を進めています。 さらに、次の小型JASMINEは、年周視差を10〜50マイクロ秒角の精度(固有運動 9〜50マイクロ秒角/年、H-band <11.5mag)でバルジ領域を数平方度にわたり位 置天文観測をおこなう計画であり、JAXAの小型科学衛星シリーズへのミッショ ン提案を目指しています。主要なサイエンスとして、銀河系バルジの構造と形 成史、巨大ブラックホールとバルジの共進化の解明、コンパクト天体、恒星物 理、星形成、系外惑星探査等の進展を目的としています。
衛星開発に関連しては、オーストラリア国立大学、上海天文台による海外協 力も進められるとともに、小型JASMINEへの地上からのフォローアップ観測とし て、米国チームによるHバンドでのバルジ観測を行う高分散分光観測計画 (APOGEE)との国際連携も進んでいます。小型JASMINEは、バルジ全領域をサーベ イ観測する予定の将来の(中型) JASMINE計画への科学的、技術的なステップと しての位置づけもあります。 (JASMINEホームペー ジ)
現在、3,4年後に観測データが期待できるNano-JASMINEおよび2016年頃の 打ち上げを目標としている小型JASMINEの科学的成果をより高め、国内における アストロメトリデータによるサイエンスを行うコミュニティの拡大を目的とし て、小型JASMINEサイエンスワーキンググループが結成され活動を始めています (代表者:梅村雅之(筑波大))。
つきましては、近赤外線での10マイクロ秒角精度のアストロメトリで可能 となるサイエンスに関する提案を広く募集したいと思います。ワークショップ ではサイエンスワーキンググループメンバーによる発表も予定しています。聴 講だけでも歓迎致します。皆様のご参加をお待ちしています。
【期日】2010年12月1日(水)午前9時30分〜午後5時頃まで場所:国立天文台 (三鷹)大セミナー室(+TV会議+skype)
【内容】
【参加申し込み&旅費補助】 下記参加申込書に記入の上、辻本(taku.tsujimoto at nao.ac.jp)まで お送り下さい。申込〆切は 2010年11月22日(月)17時 になります。 旅費の補助が可能です。希望する方は、参加申込書に必要事項を記入してお申し込みください。 ※予算が限られていますので御希望通り補助できない場合もあります。 旅費補助希望の方には、募集締切後こちらから補助についての可否をご連絡します。
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氏名:
所属:
email:
発表: あり なし
ありの場合の"講演題目":
旅費: 希望する 希望しない
[旅費希望の場合]
職名:
所属機関・部局:
所属長氏名:
所属機関住所: 〒
自宅住所: 〒
出張期間: 平成22年○月○日〜平成
22年○月○日 (○泊○日)
電話番号:
FAX番号
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お問い合わせ: taku.tsujimoto@nao.ac.jp (国立天文台JASMINE検討室、 辻本拓司)
ILOMとは月面で位置天文観測を行い月の微小な回転変動をとらえ、月の内部 構造、とくに、中心核の状態を調べる計画ですが、月面に望遠鏡を設置して、 精密な位置天文観測を行うためには、さまざまな技術的な課題を解決する必要 があります。
前回は、月面で観測する場合に、温度変化の影響が深刻であり、その影響を 緩和するために回折レンズを用いる方法についての検討結果を紹介しました。 1ミリ秒角という高精度の位置天文観測を実現するために許される温度変化が約 5℃と、普通の屈折レンズを用いた場合の0.5℃という条件に比べて約一桁改善 されることを示しました。しかし、月面の昼と夜の温度差は、赤道付近で約 300℃、極付近でも100℃近くあります。そのような環境の中で5℃以内に保つこ とは、不可能ではないにしても決して容易ではありません。
そこで、次の手段として、視野の中に多数の星像があると仮定して、それら の分布から、温度変化の影響を分離することを試みました。星像の中心位置が 変化する原因は、おもにレンズ等の変形や屈折率の変化ですが、その変形や屈 折率の変化は温度変化量の一次式で近似できます(変形の場合はいわゆる線膨 張の式)。したがって、温度分布が与えられれば、星像の中心位置変化も予測 できるはずです。温度変化の分布が与えられなくても、レンズ等は軸対称の形 状をしているので、星像の位置は軸対称に、別の言葉で言えば、視野の中心か ら放射状に、変化量は中心からの距離に比例して変化することが予想されます。 一方、観測しようとする月の回転運動は、視野の中の星像の位置をある方向に 一様に変化させるはずです。したがって、両者は変化の仕方から分離できる可 能性があります。
そこで、月面望遠鏡用に設計された対物レンズについて、温度変化があった 場合のそれぞれの星像の位置の変化をシミュレーションで調べたところ、ある 程度予想できたことですが、その変化は中心から放射状に、その振幅は中心か らの距離が長い星ほど大きいことがわかりました。 ただし、このような変化 をするのは、一様な温度変化と、軸対称の温度勾配の場合についてです。その 変化はあたかも、正方形の板が膨張したときに、板の中心を基準として各部の 変位を見た時のようです。この変化の様子を、熱膨張を表す式のように、中心 からの距離と温度に比例する一次式を用いて、最小二乗法で近似すると、この 変化の様子がみごとに再現されました。その近似式からのずれはナノメートル 以下の量で、望遠鏡で見る角度に換算して1ミリ秒角以下ということもわかりま した。このことから、一様な温度変化と軸対称な温度勾配については、星像の 位置の変化の様子から、その影響を近似式で取り除けることが期待できます。
しかし、水平や鉛直方向に温度勾配があった場合には、上で述べたような変 化に加えて、ある方向に一様に変化する成分が重なります。この変位を近似す るには、一様な温度変化の場合に用いた近似式では不十分で、場所に依存しな いで温度変化に比例する項を追加する必要があります。実際にそのような式を 用いて近似すると、これもまた、みごとに近似できました。しかし、今回は一 様な温度変化の場合とは事情が異なります。この一様に変化する成分は、まさ に観測しようとする月回転による影響と同じような変化の仕方で、この部分を 別の方法で分離しないと、観測量が求まらないことになってしまいます。これ を解決する方法として、望遠鏡の対物レンズを光軸のまわりに反転するという 案がでています。対物レンズに温度勾配がある場合の星像位置の変化は、反転 の前後で逆方向にCCD上に記録されるので、両者を比較することによってその影 響を分離しようとするものです。しかし、反転する間に温度分布が変わる場合 や、反転する軸の方向が変わる場合は完全には分離できないという問題点があ ります。
今後はこれらの問題点を解決して、ILOMの解決すべき重要な課題の一つであ る温度変化による星像位置の変化を分離する方法を確立する必要があります。
VERAの近況についてお知らせします。
VERAと野辺山45m鏡、鹿島34m鏡を含んだVLBI観測により、高振動励起状態 (v=3)の一酸化珪素(SiO)メーザーのイメージング観測に初めて成功しました。 SiOメーザーはミラ型変光星などの晩期型星の星周領域で観測される放射で、こ のような星の外層がどのように吹き飛ばされ、どのように惑星状へと進化する かを調べる上で重要な役割を果たしています。
Imai et al.(2010)は、近傍の晩期型星であるW Hyaを43 GHzで観測し、3つ の振動励起状態(v=1, 2, 3)のマッピングをほぼ同時に行いました。これまで v=1, 2の励起状態のメーザーは様々な晩期型星で観測されていますが、v=3のマッ プが得られたのは今回が初めてです。今回の観測結果は、2か月弱の時間隔て て行われた2回の観測でv=3のメーザーがv=1, 2に比べて大きく変動しているこ とが明らかになり、これまで提案されていたline-overlappingなどのメーザー の励起モデルだけでは単純に説明できないことが示唆されています。
来年以降開始される、VERAと韓国のKVNを合わせた観測モードでより詳細な SiOメーザーの観測が可能になり、v=3もその観測ターゲットとなると考えられ ます。
参考:Imai H. et al. 2010, PASJ, 62, 431 "Japanese VLBI Network Mapping of SiO v = 3 J = 1-0 Maser Emission in W Hydrae"
VERAはメーザー源の位置を、背景の電波銀河に対して精密に位置を測定する 装置です。その副産物として、今回較正電波源である活動銀河核3C84の電波増 光の様子を克明に捉えることに成功しました。活動銀河核は宇宙で最も活動的 な天体のひとつで、その中心に巨大ブラックホールを有していると考えられて います。
3C84の増光現象は2005年に報告されましたが、VERAでは以前から較正天体と して定期的に3C84を観測(モニタ観測)し続けていたため、増光現象が起こっ た後の2006年5月ごろから3C84の中心から新しいジェットが放射されるが捉えら れました。この成果は、活動銀河核の増光現象のごく初期段階を捉えた極めて 珍しいものであり、3C84の増光現象とジェット噴射の活発化の関連を明らかに したという点でも重要です。
この研究は位置天文観測というVERAの従来の枠を超えた新たな可能性を示す ものであり、今後同様な天体についてVERAによる新たな研究展開が期待されま す。
参考:Nagai H. et al., 2010, PASJ, 62, L11 "VLBI Monitoring of 3C 84 (NGC 1275) in Early Phase of the 2005 Outburst"
2010年8月11日から13日まで、国立天文台のVERA石垣島観測局にある口径20 m電波望遠鏡を用いた高校生による天文学研究の体験企画「美ら星研究体験隊」 が開催されました。今回で5回目になるこの企画において、八重山高校と開邦高 校の生徒達のチームが天の川のいて座(南斗六星)方向にこれまでに検出され た報告がない新しい電波星(メーザー天体)を発見しました。
美ら星研究体験隊での新しい電波星の発見は通算3個目になり、この研究体 験企画がVERAプロジェクトの研究にとっても観測対象を増やす意味で重要な役 割を果たしていることになります。
| 発行:国立天文台JASMINE検討室・水沢VLBI観測所・RISE月探査プロジェ クト |
| 発行責任者:国立天文台JASMINE検討室室長 郷田直輝、 |
| 編集:国立天文台JASMINE検討室 辻本拓司、 |