JASMINEの特徴は?

HIPPARCOSで距離が10%以内で決定された領域(黄色丸)と JASMINEが10%の精度で観測する予定の領域(青い線)、及び1km/sの精度で速度 を観測する予定の領域(赤い線)。図をクリックすると拡大します。郷田直輝作 図。
1989年に打ち上げられたHIPPARCOSでは、10%の精度で星の距離を測定できる範 囲は距離で300光年、図で書いた小さな黄色い丸の範囲でした(V 等級で10等星 の場合)。観測された星の数も、Vで12等級までの約12万個でした。JASMINEで は、10%の精度で距離を測定できる範囲を、図の青い線の範囲にしようと計画 しています(z等級で14等級の場合)。また、星の運動が1km/sの精度で観測でき る範囲を、同じく図の赤い線で書いてあります。これにより、数億個の星の距 離を、10%以内の精度で決めることを目標にしています。距離の精度が10% と いうのは、位置天文学では非常に重要な数字です。距離の測定には年周視差を 使いますが、この方法で距離を決める場合、10%以上の誤差があると結果の信 頼性は急に低くなります。

HIPPARCOSで観測される領域内の、変光星の分布。図は、 DIVA のページへのリンク、クリックすると拡大します。
宇宙論的な距離の決定には、セファイド変光星やこと座RR型変光星が重要です が、300光年の範囲にはこれらのほしはほとんどありません。そのため、大マ ゼラン星雲や銀河系のまわりに多数ある球状星団までの距離は、約20%の不定 性が残っています。3%の距離の不定性があると、宇宙の年齢を推定する際に10 億年程度の誤差になります。

位置天文学の人工衛星は、 世界で5つほど計画されています。距離が10%の精度で決められる範囲は、ヨー ロッパのGAIAという計画(V等級で15等級)でもJASMINEと同じ程度です。 JASMINEの最大の特徴は、赤外線で観測することです。
可視光(Vバンド)および赤外(zバンド)で観測される星の数。精度要求(σ/π <0.1)を満たす、1平方度あたりの星の数。図はl=0、b=1度方向のもの。赤 の棒グラフがJASMINE仕様、青の棒グラフがGAIA仕様のもの。作図、上田誠治。 (クリックすると拡大します。)
我々の銀河系の中には ガスが沢山あります。このガスは、星の光を吸収するため、銀河ディスク付近 や銀河中心などでは、星は非常に暗く見えてしまいます。赤外線は、このガス による吸収を受けにくいため、銀河中心付近で観測できる星の数は、可視光線 で観測するよりもはるかに多くなります。図は、可視光(V)と赤外線(z)で、銀 河中心方向のディスク面に近いところで観測できる 星の数を、地球からの距離の関数として書いたものです。

我々の銀河の運動や進化を考える場合、星が密集しているディスクや銀河 の中心付近の星の距離や運動を正確に決めることが、非常に重要になります。